特定技能の最新制度を解説|おすすめ登録支援機関を比較

特定技能の採用費用は国籍でどう違う?内訳と比較ポイント

特定技能の採用費用を国別比較(地球・円コイン・握手・右肩上がりグラフのイラスト)
【要点まとめ】
  • 費用差の主因:送出し制度・教育/手続・航空券・為替。
  • 内訳の型:採用/手続、渡航、住環境初期、運用(登録支援/通訳)。
  • 比較軸:初期額より「1年総額+1人月TCO」+支援計画(面談/緊急対応)。
  • 見積の落とし穴:航空券季節・為替・健診/接種・翻訳/通訳・更新/返金条件。
  • ルールと定着:候補者負担は低く、監査を徹底。職務リアリティ+やさしい日本語+3/30/90面談。
目次

はじめに

特定技能での採用は、人手不足解消の強力な手段です。ただし意思決定の核心は費用感。ここでは初期費用月次費用に分け、さらに採用国によるコスト差(渡航費・書類整備・試験受験環境・通訳/翻訳)まで整理します。相場は為替と航空運賃の季節変動でブレるため、**幅(レンジ)**で理解するのが安全です。


1. 初期費用の全体像(1人あたり)

費用項目目安レンジポイント
紹介・仲介(支援機関連携分を含む)30–50万円スクリーニング、マッチング、連絡調整。ボリューム採用で逓減することあり。
在留資格申請・書類作成5–10万円行政書士等へ外部委託する場合の目安(自社対応なら実費中心)。
渡航費(航空券・空港送迎)5–15万円国・シーズンで大きく変動。直前手配は高騰リスク。
住居初期費(敷礼/仲介/家具家電)10–20万円地域相場と物件在庫次第。社宅化で抑制余地あり。
生活立上げ(通信/日用品/教材)3–5万円まとめ買いで小幅圧縮可。

初期合計の目安:50–90万円/人
※国・時期・採用人数で±20%程度の振れを見込みたいところ。

国を問わず“固定作業”が多いので、2〜3名を同時に動かすだけで1人あたりの単価が目に見えて下がります。


2. 月次ランニングコスト

費用項目目安レンジポイント
賃金(本給+手当)18–25万円原則「日本人と同等以上」。地域と職種で上下。
社会保険・労働保険(事業主負担分)3–4万円法定。賃金水準に連動。
住居支援(任意)3–5万円社宅貸与や家賃補助を行う場合。
登録支援機関への委託(任意)2–3万円自社実施で圧縮可能だが運用負荷は上がる。

月次合計の目安:25–35万円/人


3. 採用国による“見えやすい”コスト差

同じ制度でも、渡航費・文書手続・試験受験環境・通訳/翻訳でコスト差が出やすいです。下表は代表的な採用元の相対比較(目安)。★多い/▲ふつう/△少ない

要素 \ 地域ベトナムフィリピンインドネシアネパールモンゴル中国
航空券相場(日本行き)▲〜★△〜▲
書類公証・認証コスト▲〜★
日本語・技能試験の受験可否/アクセス▲(地方は移動費増)
通訳/翻訳の必要度
連絡調整のしやすさ(英語通用度)

読み方の例

  • ネパール:英語通用度は人により差があり、通訳・翻訳費が積み上がりやすい/地方在住者は試験会場や日本大使館等への移動費がかさみがち。航空運賃は季節で振れ幅大。
  • フィリピン:英語通用度が高く、通訳負荷は比較的低め。航空券は季節変動あり。
  • ベトナム/インドネシア:候補者層が厚く、支援機関のオペがこなれている分、調整コストが読みやすい傾向。
  • モンゴル:人数規模が小さめだとスケールメリットが出づらい(手配の固定費が1人あたりに乗りやすい)。
  • 中国:都市部からの採用は渡航が比較的安定。書類要件の正確性に注意(翻訳・認証の手戻りコスト回避)。

ネパールやモンゴルは通訳・移動の“点在コスト”が乗りやすい印象。逆にベトナム・フィリピンは運用がこなれていて読みやすいです。


4. 採用国別・初期費用のざっくり感(サンプル想定)

実務でよく効く“ざっくり設計”です。為替・季節・採用人数で上下します。

  • ベトナム/フィリピン/インドネシア
    • 初期合計50–85万円/人
    • コメント:人材プールと支援機関連携が成熟。複数人同時採用で逓減が出やすい。
  • ネパール
    • 初期合計55–95万円/人
    • コメント:通訳/翻訳・移動費が上振れしやすい。手戻り防止の要件確認が肝。
  • モンゴル
    • 初期合計55–90万円/人
    • コメント:単発・少数採用は固定費が1人に乗りやすい。2–3名同時で平準化を。
  • 中国
    • 初期合計50–80万円/人
    • コメント:都市部採用は渡航・手続が比較的読みやすい。地方は移動絡みで振れる。

5. 見落としがちな“国発の差”ポイント

  • 試験受験環境:JFT-Basic/JLPTや分野別技能試験が国内で受けやすいかで、現地移動費・滞在費が変わる。
  • 公証・認証の要否:国・書類種類でステップ数が違い、翻訳+公証+領事認証の組み合わせで費用と日数が伸びる。
  • 通訳/翻訳の品質:誤訳による差し戻し=時間的コストは最も高い隠れコスト。実務経験のある翻訳者を選ぶと結局安い。
  • 季節要因(航空券):卒業シーズン/大型連休/夏繁忙は高騰。3–6週前の発券で平準化を狙う。
  • レート変動:見積もり時から入国までの為替変動で数万円単位の差が出る。**為替クッション(±5〜10%)**を予算に入れる。

差し戻しは“時間が一番高い”。翻訳は値段より“実務経験”で選ぶのが結局コスパ良し。


6. 想定外コストの備え(国に関わらず)

  • 在留期間更新:6か月〜1年単位の更新で数万円+書類作業
  • 帰国関連:中途帰国時の航空券手配・調整。
  • 生活トラブル対応:病気・事故・住居トラブルの臨時支出。
  • 配置転換・転籍:ルール逸脱回避のための専門家相談費は“保険”として有効。

7. コストを下げる設計のコツ(実務チップ)

  • 2–3名を“同一スケジュール”でまとめる:空港送迎・通訳・役所同行など固定作業の割り算効果が出る。
  • 支援は“ハイブリッド”運用:生活オリエンテーション等は自社、専門的書類は外部——で品質×コストの最適点に。
  • テンプレ化:誓約書・住居案内・就業規則の多言語版を整備し、手戻りと翻訳コストを削減。
  • 国別SOP:頻度の高い採用国ごとに必要書類・認証ルート・所要日数を一枚表にして、見積りブレを抑える。
  • ピーク回避の入国計画:繁忙期の航空券高騰を避けるだけで1人あたり数万円の差が出る。

8. まとめ(経営判断のための目安)

  • 初期費用50–90万円/人(採用国・人数・時期で±20%)
  • 月次費用25–35万円/人(賃金・社保・住居・支援委託の組合せ)
  • 採用国で差が出るのは:主に渡航費・書類手続・受験環境・通訳/翻訳
  • 意思決定の鍵:複数人採用の逓減、支援の内製/外注バランス、ピーク回避、テンプレ整備

費用のブレは“人数同時化・ピーク回避・SOP整備”でかなり抑えられます。予備費は±10%を目安に。

よくある質問(FAQ)

Q 国別で初期費用が違うのはなぜ?

主因は次の通りです。

  • 送出し制度・現地教育費・健康診断/接種などの制度/教育コスト
  • 書類手続・翻訳/通訳・証明書取得などの事務コスト
  • 航空券の相場と季節性、ならびに為替レート
  • 通訳・教育の外注/内製比率(日本側の運用設計によっても変動)

同じ国でもパートナーや渡航時期で総額は大きく変わります。

Q 候補者からの費用徴収は可能?

過大徴収は不可です。受入れ側の費用負担を基本とし、ゼロ/低負担方針と領収証の確認、母語での費用説明を徹底しましょう。契約書面・内訳・返金条件まで相互に合意しておくと安全です。

Q 見積は何を基準に比較すればいい?
  • 1年総額+1人月TCO(毎月費用込みの実質コスト)で比較
  • 含まれる/含まれない費目(航空券、健診、翻訳、備品、更新費用 等)
  • 支援計画(面談頻度、緊急対応SLA、通訳提供)
  • 為替前提渡航時期返金・入替条件
Q 「初期費用0円」プランの注意点は?

月額やコミッションに上乗せされている場合が多く、契約期間の縛り中途離職時の違約/入替条件で差が出ます。最終的な1年総額とサービス水準で判断してください。

Q 航空券や為替の変動はどう扱う?

契約書に指数条項/上限レンジを定め、レート確定のタイミング差額清算方法を明記しましょう。渡航ピーク期(夏/年末年始/大型連休)は相場が上がります。

Q 定着を高めるための最低限の支援コストは?
  • 3・30・90日面談と生活相談窓口
  • やさしい日本語・ピクト/写真手順書・用語集
  • 夜間/休日の緊急連絡体制、住環境の透明化

これらはコストというより離職抑止の投資。結果的にTCOを下げます。

Q 更新費用や2号移行はどの程度見ておく?

在留更新手数料、技能/日本語試験費用、登録支援の継続費、交通費等を見込みます。2号移行を想定するなら、試験準備と教育支援の予算も確保しましょう。

Q どの国が一番「安い」ですか?

一概に言えません。国よりもパートナー・時期・職種要件・支援設計で総額が変わります。初期額だけでなく品質/リスクとセットのTCOで評価してください。

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この記事を書いた人

佐藤 真一のアバター 佐藤 真一 国際人材コンサルタント/元・特定技能実習生受け入れ企業人事部長

外国人材採用・管理歴15年。ベトナム、フィリピン、インドネシア、ミャンマー、ネパールをはじめとする5カ国以上からの人材受け入れを経験。
元・特定技能実習生受け入れ企業の人事部長として、現場視点の採用戦略や労務管理を実践。
法務省・入管庁の制度説明会登壇経験を活かし、特定技能制度や外国人労務管理、文化適応支援に精通したコンサルティングを行っています。

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