本記事は「パキスタン人材の特定技能」を特集し、建設業界における実像を整理したものです。
彼らは50℃近い暑さに耐える環境で育った体力と持久力を持ち、中東の建築現場で培った経験を日本でも活かせる点が強調されています。
また「家族のために働く」という明確な動機と、パシュトゥーンに代表される義理堅さ・忠誠心が定着率の高さを支えています。
日本語能力は来日前はN4程度が中心ですが、地頭の良さと学習意欲により来日後は伸びが速く、スマートグラスなど現場での工夫で言葉の壁を解消している企業事例も紹介しました。
一方で、中東での労働では賃金未払い・不当待遇の経験を持つ人も多く、「安定した環境で正当に評価されたい」という希望から日本を選んでいます。
Skyworkのモデルは透明性のある費用設計(初期費用ゼロ・月額32,780円の定額制)を掲げ、質の悪い仲介業者との差別化を図りつつ、地方創生にもつながる地域文化への自然な適応が可能である点を事例とともに示しました。
はじめに — 特集の狙い



さて、今回の特集では「パキスタン人材」に焦点を当てます。これまで特定技能といえば、ベトナム・フィリピン・インドネシアなどが主流でしたよね。しかし近年、業界内で「パキスタンが有望ではないか」という声が急速に高まっています。実際、検索データや支援機関の動きからも、関心の高まりを裏付ける兆しが見えてきました。
とはいえ、まだ情報が限られているため、多くの読者にとっては「本当に大丈夫なのか?」という半信半疑の印象もあると思います。そこで、いち早くパキスタン人材に着目し、すでに現場での導入経験を積まれている加藤さんに、その背景や実際の評価を伺いたいと考えました。
加藤さんが「パキスタン」という国に注目するようになったのは、どんなきっかけだったんでしょうか?

カタールでの出会い

気温は40度を超えていても、彼らは驚くほど平然と作業を続けていた。その理由を聞いてみると、「私たちの故郷パキスタンでは、夏には50度を超える地域もある。だからこの暑さくらいなら大丈夫です」と笑顔で答えてくれました。
育った環境が、そのまま体力と暑さへの耐性につながっているのだと強く感じました。

カタールやドバイの近代的な街並みを支えているのがパキスタン人労働者だと聞いたことがあります。

そして「どうしてそんなに頑張れるのか」と尋ねると、多くの人が「家族のためです」と即座に答えるんです。仕送りを続ける強い責任感があるからこそ、困難な環境でも諦めずに働き抜けるんですね。
日本を選ぶ理由


そうした経験を経た人たちは「安定した環境で、正当に評価されたい」という思いを強く持ち、日本での就労を希望するケースが非常に多いのです。
日本に来るパキスタン人材は、家族のために全力で働きたいという意志と、中東で培った経験と体力を兼ね備えている。その点で、これから大きな戦力になっていくと確信しています。
パシュトゥーンの掟と精神


一度ご縁があれば長く勤め、職場に誠実に尽くす姿勢は、まさに建設業界が求める資質そのものです。
さらに困難に立ち向かう勇気や独立心も強く、新しい環境に対して柔軟に適応できる。安全性や粘り強さが問われる建築現場において、これらの特性は非常に大きな強みとなります。
誠実さと責任感を備えたパキスタン人材、特にパシュトゥーンの精神を持つ人材は、長期的に安定して働ける外国人材を求める企業にとって、大変おすすめできる存在だと考えています。
日本語能力と職場での工夫

ただ、日本で働くとなると「日本語の壁」が気になる経営者さんも多いと思います。実際のところ、言葉の面ではどうなんでしょう?

さらに、ある企業さんでは「スマートグラス」を支給して、現場の作業指示を翻訳表示させています。これにより言葉の壁を最小限にしつつ、本人たちは同時に日本語を学習できる。
つまり「言葉の問題」は時間と工夫で十分に解決可能であり、大きな障害にはならないと考えています。
費用面のポイント(透明性と定額制)

となると、次に気になるのは受け入れ費用です。多くの経営者にとって「コストの見えにくさ」は大きな不安要素になります。
実際、受け入れ費用は名目が多く、見積の内訳が分かりにくいという声をよく聞きます。中には「JAC名目」や「申請サポート名目」で実態のない上乗せをする仲介があるという相談もあります。
費用の透明性について、御社の考えを教えてください。

残念ながら業界には、法的根拠のない名目で請求したり、採用企業が不慣れなことを逆手にとって高額な費用を吹っかけたりする質の悪い仲介業者も存在します。こうしたやり方は、企業の信頼を損なうだけでなく、働きに来る人材にとっても不利益でしかありません。私たちは徹底して透明性を重視し、業界の健全化を進めたいと考えています。
実際にご相談いただいたケースでは「ビザ申請に50万円が必要」と虚偽の説明をされ、契約直前で不審に思ってキャンセルした企業もありました。別の企業では「初期費用ゼロ」と宣伝しておきながら、後から「現地研修費用」や「書類作成手数料」の名目で数十万円を請求された例もあります。
こうした不透明な請求は本来あってはならないもので、業界全体の信用を落としかねません。私たちはその反対に、初めから費用構造を明示し、追加の発生は一切ないという方針で取り組んでいます。


そして大事なのは、単に「安く見える費用」ではなく、定着率を含めた費用対効果です。例えば、採用した人材が1年以内に辞めてしまえば、いくら初期費用が安くても結局は採用コストが膨らみます。
その点、パキスタン人材は、パシュトゥーンに代表される義理堅さ・忠誠心を持ち合わせています。離職率が低く、長期にわたり力を発揮してくれるため、結果的に採用コストを抑え、費用対効果を高めることにつながります。
Skyworkのモデルは「透明な費用」と「高い定着率」を両立させることで、企業にとって本当の意味でのコストパフォーマンスを実現しているのです。

実際に御社での導入事例には、どのような成果があったのでしょうか?

Skyworkを通じて受け入れたパキスタン人材は、家族への仕送りを目的に3年以上継続勤務し、現場監督からも「安全意識が高く、日本語も確実に上達している」と高い評価を得ています。
結果として採用コストが大幅に削減されただけでなく、現場の安定稼働につながり、経営者からも「初めて人材に安心して投資できた」との声をいただいています。
また製造業B社でも、同じ工場で複数年にわたり勤務することで品質管理の知識を蓄積し、外国人材ながらリーダー的な役割を担うまでに成長しました。こうした成功事例は、費用の透明性と高い定着率があってこそ生まれる成果だと確信しています。
地方創生と文化適応

では、もうひとつ気になるのが地方との相性です。建設業は地方の担い手不足が深刻ですが、パキスタン人材はそうした環境でうまく適応できるのでしょうか?

実際に導入されたある地方建設会社では、地域の夏祭りに参加して太鼓を叩いたり、地元の子どもたちに母国の遊びを教えたりと、短期間で交流の輪が広がりました。
地域住民にとって「外国人労働者」ではなく「地域の仲間」として受け入れられるケースが多いのです。


さらに、地方での暮らしに対しても柔軟で、むしろ都市部より落ち着いた環境を好む人も少なくありません。
彼らは孤立するのではなく地域に根を張りながら長期的に働く傾向があります。これは地方創生にとって大きなプラスになります。

Skyworkさんが進める「地方創生と人材活用」が具体的にどう展開しているのか、非常に興味深いです。

私自身も地方を回っていて、地域の皆さんが「外国人が来てくれて祭りが盛り上がった」「子どもたちが異文化に触れて楽しそうだった」といった声をよく聞きます。
こうした積み重ねが、地方創生の現場で確かな手応えにつながっています。


エンディング・ノート

Skyworkさんの定額制モデルによって、中小企業でも導入しやすい環境が整っている。まさにこれからの注目株ですね。

制度が成熟し競争が激しくなる前の今こそ、先手を打って取り組むべきだと私は考えています。



ゲスト紹介

加藤 侑(かとう・ゆう)
Skywork株式会社 創業者兼名誉顧問/地方創生採用コンサルタント
地方建設業界の人手不足解消をテーマに、特定技能(建設)領域の採用設計・受け入れ運用を支援。現場目線の安全・教育・生活支援を一体で設計し、定着と生産性の両立を重視。近年はパキスタン人材の活躍と受け入れ体制づくりに注力し、現場連携の実務知見を蓄積している。
コメント